養護施設が住人の安全を高める

リスクの高いエリアを特定し、定量的リスク解析を使用することで、住人の安全性を最適化

課題: 住人の安全の最適化

  • システムとプロセスの故障 / エラーを最小化し、住人へのリスクを回避する
  • システムの運用とカバー範囲を最大化し、24 時間の保護を実現する
  • 警備員と施設のスタッフが警報に確実に対応できるようにする

ソリューション: PTC Windchill FMEA

  • システム、プロセス、人的要因を解析し、潜在的な故障モードを特定する
  • 定量的なリスク評価により、リスクの高いエリアを明らかにする
  • 予防や検出のための追加のメカニズムを導入する

養護施設 CS 左の画像

EAS は構内全域をカバーする通知システムであり、住人が緊急援助を必要とする場合に、住人のペンダント、プル スイッチ、動作感知装置によって作動します。

養護施設でのケアの信頼性は、住人とその家族にとって大きな懸念です。この懸念を理解し共有するある養護施設は、施設の緊急警報システム (EAS) とそれを支援するプロセスに対する故障モード影響解析 (FMEA) を PTC Windchill FMEA Professional Services に委託しました。

FMEA では、故障の防止またはその影響の最小化のために、システムの潜在的な故障モードを系統的に特定します。FMEA は、医療機器の故障に伴うリスクを低減するために長く利用されてきましたが、その利用範囲を広げて、医療的ケアの提供 (特に医療機器使用時) に関連するプロセスの解析に使用することもできます。

この事例では、緊急警報システム (EAS)、それを支援するプロセス、およびそれらのプロセスのエラー発生原因となる人的要因の機能不全を解析するために、FMEA が使用されました。柔軟なフレームワークに基づく FMEA は、製品の故障だけでなくプロセスと人的要因のエラーの特定および分類もサポートしているため、これらの要素すべてとその相互作用に関する計画的なプランを作成して実装することができます。


FMEA からすぐに使用可能な結果を得るため、次のような 4 次元のプロジェクト管理アプローチが用いられました。

  • 発見。具体的には、情報の収集、チームの選抜、プロジェクトの定義。
  • 設計。具体的には、FMEA ワークシートの設計と構築。
  • 開発。具体的には、FMEA ワークシートの完成と後のデータ解析。
  • 提供。具体的には、解析結果と推奨される処置の提供。

養護施設 CS の画像 2

発見: 現状とプロジェクトの目的の文書化

このプロジェクトのチーム メンバーには、FMEA アナリストに加えて各施設の数人のマネージャと従業員が含まれました。チーム メンバーは、マネージャ、従業員、住人にインタビューを行い、EAS、現行の手順、住人による利用状況に関する知識を収集しました。システム全体の解析を合理化するため、次の情報を示すフローチャートが作成されました。

結果: システムとプロセスの大幅な改善

  • 潜在的なヒューマン エラーの防止策の導入
  • セキュリティを強化するための追加的なプロセス改善の特定
  • 安全を高めるためのシステム ハードウェアの改善の調査
  • EAS のハイレベルなコンポーネントのプロセス
  • 警備員が従う手順
  • 施設のスタッフが従う手順
  • 住人による活動
  • EAS ハードウェアの機能

警報が作動すると、システムによってメイン セキュリティ ステーションに通知されます。警備員はそれを受けて、信号の発信元に急行するよう施設のスタッフに無線連絡します。EAS では、ハードウェアおよびソフトウェア コンポーネントの正しい操作と警備員および施設のスタッフによる適切な対応が必要となります。

発見プロセスの結果、次のような所見と目標が得られました。

  • FMEA には、製品解析、プロセス解析、ヒューマン エラー解析を含める
  • FMEA アナリストは、潜在的な故障モードを定量的に解析し、住人に最も大きなリスクをもたらしているものを特定する
  • FMEA チームは、住人の安全を高めるために推奨される対処策の一覧を提供する

養護施設 CS の画像 2

設計: FMEA ワークシートの定義

PTC Windchill FMEA モジュールでは、解析用のデータを収集するために FMEA ワークシートが使用されます。このプロジェクトでは、包括的なフローチャートと次の仮説に基づいて、FMEA ワークシートが作成されました。

  • FMEA は機能 / プロセス レベルで実施される
  • FMEA には単発の故障 / エラーのみを含める
  • EAS は週 7 日 24 時間稼働する必要がある
  • 解析のために、EAS のユーザーの 1 人を住人とする
  • リスクの高い故障モードを改善の重点対象とする

FMEA では、予防は、故障モードが発生しないようにすることを意味します。早期発見は、システムの欠陥または弱点を露呈、発見、または排除するために効率的な設計管理要素を提供することを意味します。管理要素は、故障によって最悪の影響が及ぶ前にエラーを発見し修正するために利用可能な、エラーの下流の要素です。

発見プロセスで作成されたフローチャートにより、チームは、EAS とそれを支援するプロセスがすでに備えている予防と発見のメカニズムを詳細に理解することができました。たとえば、住人の居室内の動作感知装置はシステムの管理要素の 1 つです。室内で決められた時間動作が感知されないと、警報が作動します。これにより、施設では、住人が意識を失っていて、ペンダントを使用することもコードを引くこともできずにいる可能性がある状況を発見できます。

開発: 解析の実施

完成した FMEA ワークシートには、EAS の機能的な故障だけでなく、システム エラーにつながる可能性のあるプロセスと人のエラーも含まれていました。起こり得る故障モードそれぞれについて、その重要度と発見に対して割り当てられた値に基づき、リスク優先番号 (RPN) が計算されました。医療分野の FMEA では、RPN の計算に発生回数を含めないのが一般的です。それは、重要度が高いか、発見または予防の頻度の低い故障モードは、発生頻度に関係なくリスクが高いと見なされるためです。

RPN の結果から、リスクの高い故障モードが 6 つ明らかになりました。

  • 警報が受信されない
  • 警報が誤認警報と見なされる
  • 干渉によって位置情報が不正確
  • 住人が外にいて位置情報が不正確
  • 感度が低くて信号が発せられない
  • レンジ限界を超えていて信号が発せられない

提供: 結果と推奨事項の提示

リスクの高いモードそれぞれについて、故障 / エラーの根本原因と推奨される是正処置が特定されました。4 ページの表には、RPN の数値が最も高い 6 つのモードについて、根本原因と推奨事項が示されています。

継続的な信頼性向上

このプロジェクトでの FMEA の結果は、EAS とそのプロセスを少し変更するだけで、システムの信頼性が大幅に高まり、住人の安全と幸福が大幅に向上することを示しています。しかし、是正処置のために提示された推奨事項は、施設の管理チームにとって開始点に過ぎません。リスクの高い 6 つの故障モードの発生を低減するか排除したら、リスクの低いモードについて根本原因と推奨事項を特定することができます。さらに、EAS またはそのプロセスに変更を加えたら、FMEA を容易に更新して、システム、手順、管理要素の変更がほかにも必要かどうか確認することができます。FMEA は、製品、プロセス、人的要因のコンポーネントとそれらの相互作用を分析できるので、医療機器だけでなくあらゆる種類のヘルス ケア プロバイダを特に効率的に分析できるツールです。

モード 根本原因 推奨事項
警報が受信されない 警備員が気づかない EAS に情報を入力し、勤務中の警備員のバックアップとして代わりのスタッフに通知します。バックアップを用意することで、警備員が対応できない事象に対処します。
警報が誤認警報と見なされる 警備員が、助けを必要としている住人の身元または位置を正しく把握していなかった 警報を解除する前に、警備員が警報を作動させた住人の位置と身元を確認する手順を、標準的な一連の手順に加えます。
干渉によって位置情報が不正確 住人に最も近い受信機でない受信機によって信号が受信されたため、住人の位置情報が不正確 示された場所で住人が見つからなかった場合に、施設のスタッフが上下または隣接する部屋の住人を確認する手順を、標準的な一連の手順に加えます。
住人が外にいて位置情報が不正確 住人が建物の外にいるにもかかわらず、近くの屋内の受信機によって信号が受信された
屋外の通常歩くエリア沿いに追加の受信機を設置し、住人の正しい位置を明確に把握できるようにします。
感度が低くて信号が発せられない
受信機の感度設定が低すぎる
各居住空間内で最も条件の悪い位置からペンダントの信号をテストし、受信機の感度設定が低すぎないことを確認するよう、テスト手順を修正します。
レンジ限界を超えていて信号が発せられない
住人が受信機のレンジ外にいる 施設の受信可能エリア マップを作成し、受信されないゾーンと見なされるエリアに受信機を追加します。このテストは、ペンダントの電池の残量が減っていてもまだ交換するほどではない、といった最悪の状況をシミュレートするために、信号の弱いペンダントで行います。

「医療機関の認定を行う連合委員会では、毎年リスクの高いプロセスを 1 つ選び、プロアクティブなリスク評価を実施することを病院に義務づけています」

- 品質管理プロセス


「ヘルスケア業界は、製品、プロセス、人的要素についての総合的な分析が必要であるという点がほかの業界と異なります。FMEA は、これらの要素とその相互作用を分析するための柔軟な枠組みを提供しています」

- カレン・ボウマン (Karen Bowman)、PTC、PTC Windchill Quality シニア コンサルティング エンジニア

PTC Windchill FMEA について

PTC Windchill FMEA は、卓越した機能によって柔軟に故障モード影響解析 (FMEA) を処理できるよう設計せれたソフトウェア ツールです。PTC Windchill FMEA を使用すると、システムの潜在的な故障モードとそれらの故障による影響をすばやく簡単に解析できるため、製品とプロセスの設計が改善されます。PTC Windchill FMEA は、広く使用されている FMEA の規格や手法をすべてサポートしているほか、広範なカスタマイズ機能も備えています。さらに、Windows ベースのアプリケーションと Microsoft Silverlight 対応の Web インタフェースを両方サポートしているため、社内全域からのアクセスが可能で、FMEA でのコラボレーションのための優れた機能を利用できます。